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緊張と緩和で笑いが起きる?その理由とは?
「人の笑い」のメカニズムの一つに「緊張と緩和の理論」があります。
理論といっても、難しいことではなく張りつめた『緊張』の後に、それがくだけた状態『緩和』が来ると、そこに笑いが生まれるというものです。
緊張と緩和の理論では、笑いを4つに分類して考えます。
【1.知的な笑い】
正常ではない状態(緊張)から、当たり前の状態(緩和)への変化で起こる笑い。
ありえない異常な状況に遭遇し、その状態を異常だと考え、そして異常の原因が判明した瞬間に起こる笑い。
【2.情的な笑い】
困ったことや腹の立つことなどの緊張状態から、リアルに気の毒と思わない程度の緩和。
これは他人に行動に対して起こる笑いで、自分自身が起こったり困ったりしている状況では起こらない笑い。
【3.生理的な笑い】
リラックスした状態に緊張を与えて、その緊張が解けた瞬間に生じる笑い。
【4.社会的・道徳的な笑い】
社会の中で禁じられていることなどを、度が過ぎない程度に行う行為から起こる笑い。
この笑いの基準は、個人差だけでなく「お国柄」や「文化」、「国民性」でも笑いのポイントや方向性は随分違うことがあります。
緊張と緩和を取り入れたら笑いが起きる?お笑いの仕組み
緊張と緩和を笑いのメカニズムの中で言い換えると、「緊張=フリ」であり「緩和=ボケ」でもあると言えるでしょう。
ある有名外国人タレントが、慣れない日本の葬儀の場で「焼香」の意味が解らず、食べてしまったという話は、まさに緊張と緩和です。
葬儀は、普通の人でも緊張する場面。そのフリに焼香を食べるというボケが緩和となって「おもしろい」と感じさせるのです。
この緊張と緩和の関係性、緊張度がより高いほどボケへの落差が大きくなるので、ボケの精度が低くてもつい笑ってしまいます。
つまり、笑いとは「緊張」が非常に重要になってくるのです。
笑いのプロではない一般人が「面白いこと」を言おうとすると、つい「緩和」ばかりを強調することになり、落ちがついてもさほど面白く感じられないのです。
芸人の話芸見ていて簡単にできそうだと思っても、実は自分でフッて自分でボケる。さらにツッコむなど一連の流れを素人がやってもスベってしらけることが多いのは「緊張」の不足が主な原因なのです。
緊張と緩和で笑いが起きるのは「ありえない」から?
笑いを作り出す要なのは「緊張と緩和のコントラスト」であり、人は緊張を緩和された時に楽しさを感じて笑いが起きます。
そんな一例をある男性の体験からご紹介しましょう。
当時の僕は冴えない一アルバイト店員。
大手の牛丼チェーンの深夜バイトとして働いていました。
そんなとき、深夜営業に目を付けたヤンキーたちが、店をたまり場にするようになりました。
ただでさえ物覚えの悪い僕のこと、「玉ねぎ抜き」や「つゆだく」だ、「ご飯の量を多くしろ」と、次々注文を付けてくるのに困り果てていました。
ビールを注文されたときには、さすがにそれはできないと、きっぱり「無理です」と答えました。
それでも持ってい来いというヤンキーと、断る僕。
徐々に苛立ちはじめ、一触即発とも思える空気になりました。
とにかく誤っておけば、穏便に済むかもしれない。
「申し訳ございません」と勢いよく頭を下げて謝罪の言葉を発したところ、店の制服でもある帽子が頭から落下。
その帽子が、ちょうどヤンキーの一人の頭にスッポリおさまりました。
その瞬間、店内は大爆笑。ヤンキーたちも毒気を抜かれ、笑いながら帰って行きました。
この話でも分かるように、とても真面目な文脈や緊張した状況にズレが生じると、緊張が緩和され、笑いが起こるのです。
面白い人は自然に緊張と緩和ができている?
絶対に笑ってはいけない状況ほど、些細なきっかけがあると笑いのスイッチが入りそうになる経験ありませんか?
それは非常に緊張した状態に、緩和する出来事が起こることで笑いそうになるのです。
まったく緊張が無い状態からは、笑いは生まれないのです。
面白い話の「オチ」を本当に面白くするのは、話全体の緊張感。
話の途中に、いかに緊張感を織り込めるかが、話を面白いものにする重要なカギです。
では、どうしたら面白い話ができるようになるのか。
それは、ズバリ「とにかくたくさん人と会話すること」に尽きないでしょう。
話が面白くない人に共通しているのは、「話が長いということ」。
落ちどころか何がいいたいのか、全体に主旨がぼやけてオチどころか話の流れすら見えません。
話に不要な部分と、必要な部分を見極めて完結にまとめることも、笑える話には重要なことです。
緊張を緩和する笑いのツボがある?笑いの効果
笑いは血行促進につながる
笑い過ぎてお腹が痛くなる経験したことありますよね?事実、人が笑うときの呼吸は腹式呼吸と同様の状態になっていて、多くの酸素を体に取り入れることができています。
そのため思い切り笑うと、血行が良くなったり、新陳代謝が活発になるなどの効果が期待できるわけです。
たくさん笑うと脳が活性化する
笑いにより酸素をたっぷり取り込むと、合理的な思考や言語をつかさどる大脳新皮質でも血液の循環が良くなり、脳が活性化します。
加えて、笑うと脳からはリラックスしたときに出ると言われるアルファ波が増えるのです。