ふと、月が大きいと感じるのはなぜ?今日が特別?実は目の○○

「今日の月はいつもより大きいな」と思ったことありますよね。月の軌道はわずかに楕円なので、多少距離の差はあっても見た目の変化はわずかなもの。

地平線上に現れた月が、かなり大きく見えることがあるのは、けして月と地球の距離というわけではないのです。

実は大きく見えているのは錯覚で、月の見た目はほとんど変わっていません。月が大きく見える錯覚について説明します。

「今日の月は大きい」と感じたら、それ実は目の錯覚です

夜の空を眺めてみると、「いつもより、月が大きい」と感じたことはありませんか?高く昇った月よりも、地平線の近くにたたずむ月のほうが大きく見えることがあるようです。これは目の錯覚によるもので、本来の月の大きさは全く変わっていません。地平線近くには街路樹やビルなどの背が高いものがあり、無意識のうちに月の大きさを比較しまうことも原因だとも考えられます。

北半球で生活している私たちが南半球へ行くと、月の模様や欠けている方向が違うように見えます。これもまた、「目の錯覚」なのでしょうか。

丸い地球を南に移動すると、月を見上げる位置が変わるため、月の満ち欠けや模様が上下逆さまになって見える感じがします。

日本で見る月と比較すると、赤道付近まで移動すると横に寝そべって眺めているような月になり、南極に近づくにつれて逆立ちしながら眺めているような月になるのです。

これは月だけではなく、星座についても同様です。南半球で月や星が上下逆さまに見えるのは、このような理由があるんですよ。

今日の月が大きい…と感じても、見た目の大きさはあまり変わらない

では、月の大きさが変わらない理由を具体的に説明していきましょう。

月は地球から常にほぼ同じ距離を保ちながら移動しています。そのため、月の大きさが変わりません。大きさに違いがあるように感じた場合は、身近にあるもので昇り始めた月と真上まで昇りきった月を比較してみるといいでしょう。

例えばお財布にある5円玉や50円玉を指でつまんで手を伸ばし、穴の中から月を眺めてみましょう。硬貨の穴から見る月の大きさが、どの位置に月があっても同じに見えるはずです。

また、人が物理的なものを“見る”ということを脳で認識するには、2種類あるのも影響しています。物理的なものを見た場合、「瞳のレンズを通して網膜に映る像」と、「網膜に映る像を“視覚”として認識する」というどちらかの動作が脳内で起こります。

脳内で“視覚”と認識してしまうと、現実の像ではなく、脳の記憶などから画像処理がされた架空の像となってしまうのです。

このような架空の像を認識してしまうと、大きさが違うように見えてしまいます。この他にも、普段の生活で見ていなかったものを見たように感じたり、色や形を誤って認識していることなども、この架空の像の影響です。そのことを念頭におくと、今見ているものの本質は違っているかもしれないと思えるでしょう。

今日の月が特別大きい?錯覚にもさまざまな説がある

月が大きく見えてしまうという錯覚には、さまざまな説が存在しています。

まずは、「空気層による光の屈折」のによるものです。地平線近くの空気層は厚みがあるため、光の屈折が起こることで実際よりも月が大きく見えるということです。これは、哲学者のアリストテレスが提唱したもので、プトレマイオスがこの説を支持していました。

しかしながら、現代科学では「光が屈折すると進行方向が変わるだけで、大きさには影響しない」ということが証明されているため、この説は否定されています。

次に、「瞳孔拡大説」というのもあります。これは、地平線近くでは目に入る光の強さが弱まってしまうため、瞳孔が開いて錯覚してしまうということです。しかし樹木やビルなどの大きさが変わらないことから、この説についても否定されています。

これらの説の他にも、視線が影響していると考えられている「視線説」や、月までの距離感が見え方に影響をもたらしていると考えられている「地勢説」などがあります。さまざまな説の中で最も有力なのが、「ポンゾ錯視説」です。

これは「物体の大きさを判断するには、背景が依存している」という説から、我々人間は無意識に樹木やビルなどと比較してしまい、実際の大きさよりも大きく脳が認識しているようです。

大昔は月は今より大きく見えていた?

月は年間で、約3cmほど地球から離れているということが観測から明らかになっています。過去にさかのぼって行くと、月はもっと地球に近いところに位置していたということが想定されます。しかし、月が離れていく速度は昔から一定だったという記録はありません。

地球から月が離れていく原因として考えられているのは、地球の自転が遅くなってきていることです。地球にある海水の運動や大陸にぶつかるエネルギーなどによって、地球の自転の速度が変動します。大陸の位置や形は過去と現在では異なるため、自転の速度も比例して変化していると考えることができます。

宇宙科学研究所の職員は、これらの影響などを加味したうえで、過去の地球の自転はどの程度だったのかや月の位置などを計算しました。その結果、かつての地球と月の距離はもう少し近い距離にあったということが推測されました。1億年に約1%の割合で距離が短く、30億年前と比べると約30%ほど距離が短かったという計算結果が出ました。

月の見た目が変化して見えるのは大きさだけじゃない

月の大きさや形の変化には気づくことができますが、「色の変化」の場合はどうでしょうか。

月の色が変わって見えるのには、地球と月までの空気が強く影響しています。その空気の量は膨大だというのは、ご想像ができるでしょう。この空気の中にはチリや小さな粒子などの不純物が多く含まれています。このような不純物が多いと、月がぼやけたりして見えてしまうのです。

また、地球上の湿度なども影響してきます。季節によっては空気中に含まれる水蒸気の量が変わるため、特に乾燥している冬は山や星などもきれいに見えますよね。空気の透明度が増すことによって、月の見え方も違ってきます。季節ごとに変わる空気の影響でも、月の見え方が変わってくるでしょう。