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デッサンで鉛筆を使い分ける?デッサンと鉛筆について
デッサンは誰でも学生時代に美術の時間に、一度はやったことがあると思います。
美術教科の時に行うデッサンでは、あまり本格的に何本も鉛筆を使って行うようなことはなかったでしょう。
ですが、本格的に趣味としてデッサンを始めるのであれば、まずデッサンをするのに必要な数の鉛筆をそろえることが必要になります。
鉛筆一本でも濃淡を描くことができるのになぜ、何本も鉛筆を使い分ける必要があるのかと疑問に感じたでしょうか。これには理由があります。
例えば2Bの鉛筆でデッサンをしていたとしたら、柔らかく薄いタッチで描いた2B鉛筆の線と強く濃いタッチで描いた2B鉛筆の線を描くことになります。
2B一本だけで描いていくと、その鉛筆の出せる濃淡だけで戦うことになります。
きれいに描けないという訳ではありませんが、いくらタッチを変えても鉛筆の芯が同じ濃さしか出しませんので濃淡に幅が出ません。
限りなく白に近い濃淡を描く、などは2B鉛筆一本では難しいでしょう。
そこで何本もの濃さや柔らかさの違う鉛筆を使い分けることで、より絵に様々なコントラストをつけていくことが可能になります。
ではその使い分ける鉛筆にはどんな濃さ、硬度のものがあるのか、どんな風に使われているのかということを解説していきます。
デッサンで鉛筆を使い分ける。鉛筆の硬度と用途について
鉛筆の硬度と濃度はアルファベットと数字で表されています。
アルファベットが大まかな硬度と濃度を表しており、硬いものからH、F、HB、B
となります。
このアルファベットの前に数字が付くことで、より細かく硬度と濃度を表しています。
硬い芯であれば数字が大きいほど硬く、柔らかい芯であれば数字が大きいほど柔らかいことを示しています。
芯の硬度とそれに伴った使い方
H芯の鉛筆
最も硬い芯を表しています。
Hの中でも10Hが一番硬い芯で、10Hから7Hまでは金属や石材などへの筆記にも使われています。
6H~5Hは硬く減りにくいことで芯が太くなりにくいため、精密な機械の製図設計用に適しています。
4H~Hは硬さにより少々違いがありますが細かい文字や薄い筆跡を好む人に筆記用に使われたり、製図用としても活躍しています。
F~HB芯の鉛筆
一般筆記ようとして広く流通している硬度の鉛筆です。
HBよりもFの方が硬度が高いです。
B芯の鉛筆
一般筆記用具ですが、芯がやや柔らかめで筆圧の強い学童向けとして扱われています。
2B~3BはBよりも濃く柔らかい芯であるため、疲れにくく長時間の筆記に向いています。
4B~6Bはデッサンなどの画材として扱われており、強弱がつけやすく濃淡を表すために用いられます。
このように硬度により筆記できる、筆記が向いている材質にも違いがあり、使用用途も大幅に変化するのが鉛筆です。
鉛筆のメーカーによっても使い分けする
鉛筆の芯の硬度や濃度の表記は同じでも、その鉛筆がどの会社で作られたものなのかで芯の書き味は違います。
同じHBでも温かみのあるものは、パキっとした線画引けるものなど様々なのです。
この違いを出している一因が定着性の違いです。
芯の色がどれだけ紙などに定着してくれるかで、見え方に変化があるのです。
海外のメーカーのものと国内メーカーのものではもちろん違いますし、国内メーカーで比べる、さらには同じ会社が出している違う銘柄の鉛筆を比べるだけでも定着率や色の具合、芯の硬さ、書き味に変化を感じると思います。
デッサンは芯の濃度もそうですが、軸の形などでも使いやすいものかどうか差が出ます。いろいろなものを試して長時間の緻密な作業でも疲れを感じにくく、なおかつ自分が描きたいと思える線が描けるような鉛筆を探してみてください。
また、同じメーカーのものでそろえるのも統一感が出ていいですが、描くものや場所によってメーカーの違うものを混ぜて使ってみるのもいいですね。
色んな書き味を感じてみましょう。
デッサンに使う鉛筆を書きやすいようにカッターで削る
デッサンで使う鉛筆はカッターで削る。
これは良く聞くことですが、そんなことしなくても鉛筆で線は引けます。
でも、美術大学などではカッターで削った鉛筆をみんな持っています。
鉛筆削りで削った方が楽なのに、なぜみんなそんなことをしているのでしょうか?
これはデッサンで使うためにそうしている理由があります。
デッサンでは鉛筆を立てたり寝かせたりすることで、力の入れ具合以外の部分でタッチを変化させるテクニックがあります。
寝かせることで広い面を均一に塗ったり、発てることで強く濃い線でコントラストを付けたりという使い方をするのですが、これを鉛筆削りで削った鉛筆で行うことはなかなか難しいのです。
何故難しいかというと、機械的に鉛筆削り器で削られた鉛筆は芯が露出している部分がデッサンで使うには足りないのです。
実際に寝かせて描いてみるとわかると思いますが、あまり広い範囲を塗ることができません。
人によってデッサンの時の鉛筆の使い方は違います。
だからこそ自分が使いやすくなおかつデッサンがしやすいように、芯を露出させ先を尖らせるためにカッターで自分の使いやすい鉛筆を作るのですね。
実際にカッターで自分なりに削った鉛筆と、鉛筆削りが削った鉛筆で何度か描いてみて比較してください。
そのうち自分なりに使いやすいように、削った鉛筆の方が気に入るはずです。
デッサンの時に使う鉛筆を使い分けする動画などを参考にして
デッサンでは鉛筆をどんなふうに持ち、描いていくかがとても重要になります。
描きはじめは2B~3Bほどの柔らかい鉛筆を使ってモチーフの形をとらえていきます。
その段階では鉛筆を力を入れることなく使い、柔らかく描いていきます。
モチーフの輪郭が紙の上に見えてきたら鉛筆を長めに軽く持って、寝かせた状態で大まかな陰影を描いていきます。
基本的にはこれを繰り返し、大まかにモチーフが画面上に描けてきたら徐々に鉛筆を短く立てて持つようにして細かな部分を描いていきます。
基本的な流れを文章で書くとこんな形になりますが、その流れは動画などで見て行くとよりわかりやすくなるでしょう。
インターネットにはいろいろな方がいろいろな形でデッサンの様子や鉛筆の持ち方、使い分けについて動画を登校しています。
こんな絵が描きたいと思わせてくれるような人を見つけて、参考にしながら何度も反復して上達していきましょう。